イバラキ室内管弦楽団 〜新進演奏家との競演〜
掲載:平成22年1月11日
2009年12月、田口先生のコンサートに再び行ってまいりました! プログラムはアンコール曲を含め、全部で9曲です。
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・モーツァルト |
歌劇「フィガロの結婚」序曲K.492 |
・モーツァルト |
オーケストラとピアノのためのロンド ニ長調K.382 |
・モーツァルト |
フルート協奏曲No.2 ニ長調K.314 |
・モーツァルト |
ヴァイオリン協奏曲No.4 ニ長調K.218 |
・マスカーニ |
歌劇「カヴァレリア・ルスティカーナ」より間奏曲 |
・モーツァルト |
歌劇「コシ・ファン・トゥッテ」より フィオルディリージのアリア ”岩のように” |
・ビゼー |
歌劇「カルメン」より カルメンのアリア「ハバネラ」 ”恋は野の鳥” |
・ベートーヴェン |
ピアノ協奏曲No.3 ハ短調Op.37 |
・アンコール曲 |
ヨハン・シュトラウスT世 ラデツキー行進曲 |
まず会場の茨城県立県民文化センターに着いてビックリ! 私は開場時間の20分前頃に現地に到着したのですが、既にたくさんの人が入場を待って長蛇の列を作っているではありませんか! ファンの皆さんは待ち遠しくて、そして少しでもよい席を確保しようと一生懸命なのですね。
コンサート開始にあたり、田口先生は多くの聴衆の拍手に迎えられて軽い足取りでさっそうと登場・・・そしてぴょんと跳び乗るように(私にはそのように見えました!)軽やかに指揮台に上がられました。相変わらず田口先生はエネルギッシュでお元気ですね。ここで素朴な疑問です。指揮者は1回の演奏会で2時間あまりもタクトを振り続けて相当量の腕の運動を強いられます。筋肉痛になられたりするのでしょうか? また腕の筋肉など鍛えたりなさるのでしょうか? 次回、田口先生にお会いできた時に、ぜひ伺いたいと思っております。さて、次に当日の演奏曲目ごとにピックアップして感想、および私なりの解説を述べたいと思います。
1. モーツァルト 歌劇「フィガロの結婚」序曲K.492
とても生き生きとしていて、生気と機知に富んだプレストの序曲です。田口先生がタクトを振り始めるとキラキラと輝く音楽となって胸がわくわくしてきました。もしも下手な指揮者が振ると、出だしの弦楽器は多分そろわないと思います。
2. モーツァルト オーケストラとピアノのためのロンド ニ長調K.382
この曲はとても愛らしいメロディーのロンドです。ピアノは橘 知里さんです。トップバッターのソリストのプレッシャーでしょうか、少し緊張している感じが見受けられました。なんだか初々しい感じがいたします。それにしてもオーケストラをバックに演奏するなんて、とても気持ちよいことなのでしょうね。
3. モーツァルト フルート協奏曲No.2 ニ長調K.314
この曲は私たちが高2の時、田口先生の最初の授業で聴かせていただいた曲です。皆様、覚えていますか? 当時はまだアナログレコードの時代でした。その時のフルートのソロはたしかピエール・ランパル(オーケストラと指揮者は忘れてしまいました)で、先生はピエール・ランパルの愛用している黄金のフルートの話などをしてくださいました。特に第2楽章は美しい曲で、以前、田口先生が「人生の最期には、この曲を聴きたい」と言っておられたことを思い出します。先生にとっては思い入れの強い曲なのでしょう。この曲を聴いていると音楽を生涯のお仕事とされている田口先生の情熱が心の奥深くに伝わってきます。圧巻でした。
4. マスカーニ 歌劇「カヴァレリア・ルスティカーナ」間奏曲
この曲は10月の演奏会のアンコールでも演奏された曲ですが、10月の演奏と今回の演奏ではオーケストラの編成も違いますし、使用された楽器も違いましたので(10月にはハープが使われていましたが、今回はハープのパートをピアノで演奏)、また違った気分で聴くことができました。このオペラは「愛のもつれから決闘にいたる悲劇」といった内容のストーリーですが、何度聴いてもこの間奏曲は美しいメロディーです。また、この曲は映画「この胸いっぱいの愛を」(2005年公開。主演:伊藤英明)の中でも使われています。終盤のクライマックスでオーケストラの演奏シーンがあるのですが、そこで指揮者の金聖響さんがタクトを振るのがこの曲です。ちなみに、この映画でミムラさんが演じるヒロインがヴァイオリンを弾くシーンの吹き替えはヴァイオリニストの千住真理子さんの演奏です。映画全編をクラシック音楽が盛り上げていますが、別に音楽映画というわけではありませんので、特に音楽ファンでなくても映画は充分に楽しめます。まだ観たことのない方はぜひ1度観てみてはいかがでしょうか。オススメです。
5. モーツァルト 歌劇「コシ・ファン・トゥッテ」より フィオルディリージのアリア ”岩のように”
このオペラのストーリーは「恋人の交換」というちょっと怖ろしい内容です。第1幕後半で歌われるアリア ”岩のように”は主人公フィオルディリージの一番の聴かせどころです。ソプラノのアリアですが、低音を使って始まり、装飾的な技で歌われていきます。モーツァルトのソプラノのアリアの中では、“岩のように”は「魔笛」の夜の女王のアリア ”復讐の心は地獄のように”と並んで、私の中では双璧をなす大好きなアリアです。
6. ビゼー 歌劇「カルメン」より「ハバネラ」 ”恋は野の鳥”
メゾソプラノの山本祥恵さんはカルメンをイメージした赤いドレスを着て舞台に登場! なんと山本さんは水戸三高時代、堂さん(旧姓:飛田さん、33組)の教え子とのこと・・・。教え子の晴れ姿を、目を細めながらうれしそうに見つめる堂さんの姿が印象的でした。このアリアは超メジャーで有名なアリアですが、正確に音程をとるのはとても難しい曲だと思います。
7. ベートーヴェン ピアノ協奏曲No.3 ハ短調Op.37
ベートーヴェンは今年で生誕240年です。240年前の日本はというと、江戸時代、老中の田沼意次が台頭していく頃です。ベートーヴェンの時代はまだピアノという楽器が発展途上であったにもかかわらず、こんなにピアノの魅力が満載のコンチェルトが作曲されたのですね。この曲は私たちが高1の時、田口先生の前任の寺門先生が授業中に聴かせてくださった曲です。寺門先生はベートーヴェンのピアノソナタやピアノコンチェルトをたくさん聴かせてくださいました。きっとベートーヴェンがお好きだったのでしょう。
8. アンコール曲 ヨハン・シュトラウスT世 ラデツキー行進曲
毎年1月1日にウィーン楽友協会大ホールで行われるウィーンフィルハ−モニー管弦楽団のニューイヤーコンサートでは、最後のアンコール曲で「ラデツキー行進曲」を演奏するのが、ならわしとなっています。そしてまた指揮者の指示通りに曲に合わせて聴衆が手拍子をするのも恒例です。曲の中では手拍子をする部分と手拍子を控える部分が決まっています。それは指揮者をよく見ていればわかることなのですが、聴衆の数が多くなればなるほど、皆で拍子をあわせるのが難しくなってきます。必ずフライング手拍子をする人が出てくるのです。が、それもまた楽し・・・ということで、田口先生の今回のアンコールでも最後は皆で手拍子をとりながら「ラデツキー行進曲」で盛り上がりました。会場には小学生や高齢の方など様々な世代の観客が来場していて、このイバラキ室内管弦楽団がいかに地域にとけこんでいて、いかに地域に根をおろしたオーケストラであるかを実感いたしました。師走の水戸の夕暮れはとても寒かったのですが、県民文化センターの周りだけ一足先に新年が訪れたような華やいだ雰囲気に包まれていくような気がいたしました。
9. 番外編 −田口先生のラスト授業−
音楽選択だった皆様、田口先生の最後の授業で聴かせていただいた曲を覚えていますか? 実はそれは冨田 勲のシンセサイザーの曲です。とても強烈な印象でしたので覚えている方も多いと思います。今でこそシンセサイザーの音は日常的によく耳にすることがありますが、当時はシンセサイザーといえば時代の最先端でした。この授業で初めてシンセサイザーの音を耳にした人も多いはず・・・。実は私もそうでした。生まれて初めてシンセサイザーの音を耳にして、なにやら未来の世界から音楽が聴こえてくるような不思議な感覚を覚えました。このようにして田口先生は当時のわれわれ高校生(若者)の心をギュッとつかんだのですね。曲が終わったとたん、教室からはため息と拍手が自然発生いたしました。
コンサート終了後、県民文化センターから徒歩5分くらいのところにある「食彩酒房Hachisch(ハッシシ)」で田口先生を囲んで忘年会を行いました。出席者は田口先生の他に、堂(旧姓:飛田)さん(33組)、汀くん(34組)、小久保くん(35組)、岡崎くん(37組)、川島(旧姓:唯根)(34組)の5名です。ワインで乾杯をし(田口先生も一口だけワインをお飲みになりました!)、カレー鍋をつつきながら、今回のコンサートの裏話やオーディションの話などをお聞きしました。楽しい語らいの場となり、田口先生のうれしそうなお顔が印象的でした。田口先生、次回3月のコンサートのご成功もお祈りしております。どうもお疲れ様でした。
田口先生を囲んで忘年会
(左から、汀くん、小久保くん、岡崎くん、田口先生、堂(旧姓:飛田)さん、川島(旧姓:唯根))
【報告:川島(旧姓 唯根)34組】
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