ロンドン在住の飯村洋一くん(39組)がロンドン便りを寄せてくださいました。

ロンドン便り(1)

(遅くなりましたが)明けましておめでとうございます。またご無沙汰しております。39組の飯村です。現在エーザイ・ロンドン研究所に勤務しており、こちらに住んでもうすぐ丸4年になります。今回雨澤代表幹事と汀副代表幹事の依頼により「ロンドン便り」を書かせていただくことになりました。

同じ島国ということもあるのでしょうか、多くの日本人が英国に興味を持ち、英国を称賛する本もかなり出版されています。しかし実際に住むとなるとそこは(日本人からすると)外国、必ずしもいい面だけではありません。そういったことも含めて思いつくままにお伝えできたらと思っています。ただしあくまで一日本人の見方であることをご了承ください


【ロンドンの気候】

日本は近年まれな大雪のようですが、まずはこちらの気候から書きたいと思います。「英国人の挨拶は天気の話題から始まる」と言われているように、こちらの天候はとにかく1年中変わりやすいことが特徴です。朝晴れていたかと思うと1時間後には雨が降っていたりと日本の「――と秋の空」よりも変化が激しいので天気予報はあてになりません。雨の回数は多いのですが年間の降雨量は日本より少なく、また激しい雨が長く降ることはあまりありません。しかし比較的風の強い日が多くあります。そのせいでしょうか英国人はあまり傘をさしません。濡れながら平気で?歩いています。実際私もこちらで何本かの傘をだめにしました。そして今では濡れながら歩くことが多くなりました。

現在こちらは「暗くじめじめした長い冬」の真っ最中です。朝は8時でも薄暗いですし、午後4時には暗くなり始めます。それでも日本の関東地方のように快晴の日が続くのならよいのですが、ほとんど毎日どんよりとした曇りで時折雨が降る日が続きます。青空はあまり望めませんし青空が見えたとしてもすぐに曇ってしまいます。気温は東京と同程度か少し低い程度です。緯度的にはサハリン(樺太)と同程度ですから、もっと寒くてもよいはずですが、昔社会科で習ったように暖流の影響は本当にすごいなと感じています。雪はあまり降りません。たまにぱらつく程度ですが、まれにまとまった雪が降ると交通は大混乱となります。2003年のちょうど今頃ロンドンで約7cmの積雪がありましたが、その時には通常1時間弱の通勤時間が3時間半もかかってしまいました。またこういった天候のせいでしょうか、この時期は多くの(ロンドン中心部を除く)歴史的建造物や庭園、さらには遊園地までもが閉館となります。よってこちらに住んでいる日本人の多くは英国の冬を嫌って当然ですが、こちらで生まれ育った英国人でさえも冬が好きという人は稀なようです。「ウィンターブルー」という言葉もあるようでこの時期軽い鬱症状を呈する英国人も少なくないと聞いています。

一方で英国の夏は実に爽快です。梅雨も台風もありませんし、夏至の頃は朝5時ごろから明るくなり始め、午後9時半頃まで明るさが続きます。真夏でも最高気温が25℃を超える日は少なく、湿度も適度で冬とは好対照な時期となります。もちろん日本のように熱帯夜が続くことはほとんどありません。よってクーラーのある家は稀です。扇風機一台で十分です。そして多くの英国人が(長い冬の鬱憤を晴らすかのように)太陽を求めて行楽に出かけ長い一日を外で過ごします。ただし海水浴に適した日はそう多くはありません。もっとも日本人にはとても無理と思えるような水温でも平気で泳いでいる英国人をよく見かけます。体感温度が違うんですね。

またこのように夏冬の差が大きいので短い春秋の変化は著しいものがあります。日一日と明るい時間帯が変わっていくのが実感できます。「釣瓶落としのごとく」という言葉が日本以上に当てはまると思う日本人は私一人ではないようです。

またこの時期ちょうど通勤時間帯に日の出や日の入りが重なり、かつ天気がよい場合、一面ピンク色に染まった朝焼けや夕焼けを見ることができます。日本の夕焼けとはまた違った美しさがあります。雲も日本では見られないようなものを見ることができます。西洋画に描かれた空がどうしてあんななのかこちらに住んで初めて理解できました。

―――ちょっと横道に―――

英国の夏の楽しみの一つにバーベキューがあります。こちらには蚊がほとんどいませんし(蚊取り線香、防虫スプレー、窓の網戸等いずれも不要です)、家の庭や公園、川岸などが絶好の場所となります。我が家も英国人に負けず劣らず天気の良い週末はしばしば裏庭で楽しんでいます。スーパーマーケットにはただ焼くだけの惣菜がこの時期たくさん並びますし、冷たいビールやワインと共に食べるバーベキューは本当においしいですね。特に締め括りの(さすがに自家製ですが)焼きおにぎりの味は最高です。それ故こちらで入手できるバーベキュー用品は品数が豊富ですが、その中のスグレ物に「使い捨てコンロ」があります。上面に網の付いたアルミの箱の中に炭と着火用の油をしみ込ませた紙が入っています。いくつかのサイズがありますが普及型(3-4人用)は価格も安価です。マッチ一本で着火可能で、15分ぐらいで焼けるようになり、2時間半以上火力が持続します。後始末も消火後そのまま捨てるだけととても便利です。本来はアウトドアで使用するためのグッズでしょうが、とにかく便利なので我が家では自宅でも頻繁に使っています。「バーベキューは好きだけど準備と片付けがどうも---」という方にはお勧めの一品です。ただこちらに来る前に日本では見かけたことがありませんでした。日本でも入手できるかどうかどなたかご存知ですか? 


吉川くんの長野便り