ロンドン在住の飯村洋一くん(39組)のロンドン便り第2回です。

ロンドン便り(2)

先週末は関東でも久しぶりの大雪だったらしいですね。こちらは雪の降らない相変わらず暗い冬が続いています。ただクリスマスから一ヶ月が経ち少しだけ明るい時間が長くなったかなと思えるロンドンより第2報をお届けします。今回はロンドンでの日本人の生活と物価についてお知らせします。


【ロンドンの日本人】

ロンドンの面積は東京の7割程度の1,580km2、人口は東京の6割程の740万人で、ありとあらゆる人種が住んでいます。これはこれまでの積極的な移民政策の結果でもあるでしょうが、正に「人種のるつぼ」という言葉がぴったり当てはまります。その中で約3万人の日本人がロンドンに住んでいると言われています。しかしこの数には大使館に「在留届」を出していない留学生などは含まれていませんので実際はもっと多いと思われます。ただバブルの絶頂期に比べるとだいぶ駐在員数は減ったようです。一方で日本からの留学生の数は増え続けているようでトータルの日本人数はあまり変わってないと言う人もいます。いずれにしてもこれだけの日本人が住んでおり、さらに年間を通じて日本からの旅行者もたくさん訪れますので日本人にとって比較的馴染み易い都市となっています。

現在日本人が多く住んでいるのはロンドン西部のアクトン・イーリング地区や北部のフィンチリー地区などです。私の家はアクトンにありますが、この地区はロンドン中心部とヒースロー空港の中間に位置しています。この地区に日本人が多く住むようになったのは1986年に全日制日本人学校(小学部・中学部)が誘致されてからで、現在では日本人にとって住み易い環境となっています。治安的にも良好ですし、思いつくだけで日系の幼稚園、学習塾、書店、不動産屋、美容院、日本食食材店、寿司屋、日本食レストラン、診療所、鍼灸院さらにはリサイクルショップまでもがこの地区にあり、しかもそのほとんどのスタッフが日本人です。よって一通りのことは日本と同じように(もちろん日本語で)できます。食材店ではお米や味噌、豆腐、納豆、日本のお菓子はもちろん、干物や新鮮でおいしいお刺身までも近くで買うことができますし、日本人医師と看護婦のいる診療所も徒歩圏ですので心強い限りです。本当にここは外国かと思うことが何度もありました。ここは日本とのギャップが最も少ない外国の一地区であることは間違いないと思います。逆に「せっかくの海外生活だからできるだけ現地に密着したい」という人には向かないことになります。


―――ちょっと横道に―――

興味深い話として「日本人学校の総児童生徒数」と「日本の経済」は相関すると言われています。実際バブル期には一時1,000人を超えた時期もあったようですが現在は約450人です。納得できますね。


【ロンドンの物価】

とにかく高いの一言です。日本からの出張者のほとんどが物価の高さに驚きます。

例えばスーパーで売っているごく普通のサンドイッチが2-3ポンド(400-600)、マクドナルドのセットが5ポンド(1,000)もしますし、ロンドン市内では150ポンド(30,000)出してもそれ程よいホテルには泊まれません。食材等を除くほとんどのものに(日本の消費税にあたる)17.5%の付加価値税(VAT)が加算されていることもありますが、それを除いたとしても高いと思います。贅沢品と見なされるものにはさらなる税金が加算されるようで、例えばタバコは一箱5ポンド以上(1,000)もします。公共交通運賃に至ってはバス代が1.5ポンド(300)、地下鉄の最低運賃はなんと3ポンド(600)もします。現在1ポンドは約200円ですが、1ポンドが100円あるいは1米ドル換算なら納得できるといった感覚です。ある調査によると東京が世界一物価が高い都市ということですが、私はロンドンの方がずっと生活費が高いように感じています。

ただミュージカルや各種コンサートのチケット代等は(さすが本場といいますか)日本よりも安いと思います。有名ミュージカルの一番良い席でも45ポンド(9,000)ぐらいで入手できます。またロンドン市内の多くのメジャーな博物館や美術館は(特別展を除いて)入場無料ですし、英国中の高速道路も(ごく一部を除いて)無料です。こういったことはぜひ日本でも導入してほしいですね。


―――ちょっと横道に―――

地下鉄やバスの運賃が高いと書きましたが、うまく使えば経済的な「ワンデートラベルカード」というものがありますのでご紹介します。これはロンドンの中心部であるゾーン1,2をカバーしたもので、午前9時半以降でしたら4.9ポンドでその区間内の地下鉄とバスが一日中乗り放題となります。ロンドンのメジャーな博物館や美術館はほとんどがゾーン1,2内ですし、何と言っても入場料が無料ですから自分の足で回りたいという人にとってはかなりお得になります。実は家族連れにはさらにお得な「ファミリートラベルカード」というものもあったのですが、残念な事にこの1月から廃止になってしまいました。ロンドンの地下鉄については機会がありましたらまた書きたいと思いますが、もともと問題を多く抱えている上にさらに悪化している状況です。

吉川くんの長野便り