ロンドン便り(4)
同窓会当日には那珂湊発のバス「一期二会号」が運行されるようですが、今回と次回はロンドンの交通についてお伝えします。
【ロンドンの交通(1)】
『バス』----- ロンドンのバスと言えば赤い二階建ての「ダブルデッカー」が有名です。車内放送がないのである程度土地勘がないと乗りこなすのは難しいのですが、慣れれば便利ですし、何より二階の最前席はベストシートです。
これまでダブルデッカーの代名詞は「ルートマスター」と呼ばれる後ろが開いたまま(ドアのない)ので車掌が乗っていたバスでした。車掌がいるので乗車券は中で買えましたし、土地勘がなくても下車すべきバス停を教えてもらうこともできました。さらにドアがないので、例えばバスが信号待ちをしている間でも(もちろんルール違反ですが)乗り降りができ、実際多くの乗客がそうしていました。車掌もそれが当たり前のように何も言いませんでしたし、渋滞の時など本当に便利でした。しかし当然それによる事故も多かったようで、もちろん人件費削減の意味もあったのでしょうが、昨年12月に(観光用の1路線を残して)運行中止になってしまいました。現在のダブルデッカーは自動ドア付きのワンマンカーです。切符もバス停の(故障していることも多い)自販機で買わなければなりませんし、どこで降りたらいいかといったことも聞きづらくなりました。
さらに最近増えているのが「ベンディ(bendy)バス」と同僚達が呼ぶ、(二階建てではない)車両が前後に2台繋がったようなバスです。これもワンマンカーで3箇所のドアから乗り降りできますが、乗車券チェックはほとんどされないので不正乗車の温床になっているようです。(実際私がこれまでで抜き打ち的な乗車券チェックを受けたのは1回だけです。)ダブルデッカーに慣れた市民や旅行者の評判は今ひとつのようですし、私もそう思います。
ロンドンの中心部では(短い距離の場合)何系統ものバスが使えることが多いので待ち時間はそれ程ではありません。しかし郊外ですと本数も少なく30分以上待たされることもありますし、なぜか同じ番号のバス2、3台が立て続けに来ることもあります。また郊外では日本のようなバスも走っています。
―――ちょっと横道に―――
不要になった「ルートマスター」が売りに出されています。日本円で50万円ぐらいからのようですが、世界各国から問い合わせが来ているということです。愛好者が多かったのは事実で、趣味が高じて本まで出版した人がいるという話も聞きました。ルートマスターは「古き良き時代」の象徴?だったのかもしれません。
『タクシー』----- ロンドンのタクシーと言えば(ダブルデッカーバスと並んで)「ブラックキャブ」が有名です。亀の子型の独特のスタイルで、トランクがないので大人5人まで乗ることができますし、大型のスーツケースでも2つまでなら運転手の横のスペースに置くことができます。色も現在では黒だけではなくカラフルな色のものや広告をペイントした車もよく見かけます。乗車も空港のタクシー乗り場などからだけではなく、走行中の空車を拾うこともできますし、何と言っても車両数が多い(ロンドンの登録車両だけで約19,000台)のでとても便利な交通手段です。この資格を取るのはかなり難しいと言われていますし、メーター制のうえ安全性の面でも問題ありません。ただ欠点は料金が高いことです。例えばヒースロー空港からロンドン中心部までですと50ポンド(約10,000円)ぐらいはかかってしまいます。地下鉄のみだと4ポンドですからかなり高いと言えます。
もう一つが「ミニキャブ」と呼ばれているもので、これはメーターのないごく普通の乗用車です。値段は事前交渉ですが相場はだいたい決まっています。とにかく安いのが特長でブラックキャブの半額以下です。地下鉄の駅などの横に小さなオフィスを構えており直接そこへ出向くか電話で予約をします。空車を拾うことは(法律上も)できませんし、概観では一般車と区別できません。ただ運転手の多くが移民系ということもあり、メーターもないので最初使ったときはかなり緊張しました。イスラムの音楽?ががんがんかかっていたりします。しかし今では我が家にとっても便利な交通手段のひとつです。以前は運転手による暴行事件などもあったようですが、昨年から登録制となり大分そう言った事件は減ったようです。
―――ちょっと横道に―――
ブラックキャブの拾い方ですが、屋根部分にライトが付いている(空車のサイン)車を見つけたら腕を真横にまっすぐに出して止めるのがスマートなようです。こちらに来て間もない頃、私が手を振りながらキャブを止めた時に同僚が教えてくれました。また乗る前に行き先を告げて運転手がOKしてから(自動ドアではないので)自分でドアを開けて乗り、さらに料金も車内で払うのではなく、車を降りてから窓越しに払うのがロンドン流のようです。どうでもいいことかもしれませんが、「郷に入りては郷に従え」で今では私もそうしています。
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