添田慎二くん(31組)の仙台便り第3回です。

仙台だより(その3)

仙台市在住 元31組 添田 慎二

 

 今年の12月は全国的に寒いようですね。仙台も例年になく何度も雪が降って寒い日々が続いています。特に18日の日曜日には一時吹雪で真っ白になり、周りが見えないほどでした。でも、7センチほど積もって翌日にはやみましたけど。

寒いときは家にこもりがちになります。私の場合、東京で1時間半通勤していたことを考えると相当に運動不足になっているので、昼休みや休日などに暖かい服装をして、できるだけ歩くようにしています。

地面から巻き上げるような吹雪のあった18日の日曜日は外に出られませんでしたが、その前日の土曜日は天気が良かったので、今のうち、とばかり松島へ電車で出かけました。晴れ渡って昼間は10度を超えて暖かく、観光客も集まっていました。仙石線(せんせきせん)の始発「あおば通」駅(仙台駅から市内の地下に延びた駅)から「松島海岸」まで快速で26分です(ローカル線なのに“Suica”が使えます)。松島巡りの観光船には秋に乗ったので、今回は瑞巌寺を訪ねました。子供の頃、叔父が仙台に勤務していた折りに遊びに行って以来で、参道に並ぶ石窟群、厳かながら絢爛豪華な本堂、と独特な雰囲気を懐かしく眺めました。ところで、瑞巌寺の隣に円通院という臨済宗のお寺がありますが、これは前に行ったかどうか覚えていませんでした。入ってすぐ左に枯山水の庭があり、更に奥へ行って左に折れると杉林があって、大変静かで瞑想的な雰囲気を楽しむことができます。ただ、私が行ったのはオフ・シーズンの朝ですから、いつもそうはいかないかもしれません。円通院は伊達政宗の夭折した孫、光宗の菩提寺であり、杉林を抜けると三慧殿(さんけいでん)という建物があり、その中に光宗の乗馬像を納めた豪華な厨子があります。この厨子の金張りの扉の内側には水仙とバラが鮮やかに描かれており、他にもスペード、ハート、ダイヤ、クローバーの模様が隠されているなど、当時の伊達家の西洋趣味を反映した面白いものです。この厨子は昭和60年まで約350年間公開されたことがなかったそうなので、私が前回見ていないのは間違いではなかったようです。

 

前回のお便りで申したとおり、私の東北観光の知識は(仕事上必要であるにもかかわらず)全く頼りないものです。そこで、東北一帯にまんべんなく出かけることはできないものの、このようにとりあえず仙台周辺から観光地めぐりをしています。

一人で旅行するのは淋しい感じもしますが、観光地の自分の好きなところだけをじっくり見られるメリットもあります。大勢での旅行は楽しいですが、おしゃべりに夢中になって何を見たか覚えてなかったり、自分はゆっくり見たいのに他の人がどんどん行ってしまったりとかっていう経験ありませんか?それと、私の場合はオフ・シーズンとか時間帯を外すとか、とにかくすいている時に観光地を訪れるのが好きですね。団体客がわいわいがやがやしている中では見た気がしないんです。でも、われわれが目指している観光地の発展とはお客がたくさん来ることなんですが…。

政府では観光を促進するねらいもあり、祝日を月曜日にして三連休化したりしましたが、休日の増加や変更も限界があるので、これからはできれば有給休暇の取得を促進したいですね。平日は、電車も旅館もレストランもすいていて、旅行する方も、迎える方もお互いに助かるはずです。人が仕事している時に休むのって大多数の日本人にはまだ罪悪感があるんでしょうか。私は自分だけ休んでいると「あー気持ちいい」と思いますが。

 

11月下旬には、大河ドラマ「義経」で有名な平泉に、初めて行きました。多分、皆さんはとっくに行ったことあるんでしょうね…。

JR仙台駅から快速「義経北行伝説号」(季節列車)が出ていて、リクライニングシートなのに特別料金もいらず、平泉まで2時間弱で着くので便利です。土曜日の朝、この、申し訳ないぐらいすいている電車(やはりちょっとシーズンオフのせいか)を利用して行ってきました。

中尊寺も毛越寺(もうつうじ)も評判にたがわぬいいところでした。ただ、ほとんどの観光客はこれらのお寺の大駐車場に観光バスかマイカーで乗り付けるので、私のように駅から歩いて回る旅行者はあまりいません。駅に置いてある地図を取って、まず駅から近い毛越寺へ行き、そこから中尊寺まで歩いてみました。地図で見ると毛越寺から中尊寺は近いように見えますが、実際は3km弱あり、私のように、最初から覚悟してないと歩くことは難しそうです。遊歩道と書いてある道を行くと、寒いながらも秋晴れですがすがしい山道が続いていました。しかし、前後に誰も歩いていないのでだんだん不安になってきて、そのうち車道と交差する地点には「熊出没注意」という標識が!「これはドライバーに対するこの先の道に対する警告で私には関係ないよねー」と思いながらもびくびくして更に歩いていくと、なんとか中尊寺らしきところに近づいて来ました。が、最後はどれが遊歩道だかわからなくなったので、車道沿いに歩くことにしました。

私が常々思うのは、日本人でも外国人でも、ぶらっと来た個人客にとっては、日本の観光地は案内が不親切だということです。平泉だけが特に悪いというわけでもありませんし、今回でも地図を見れば歩き方は何とかわかりました。でも、案内表示の頻度が低い、英語表示がない、肝心の入り口の案内がはっきりしない、など世界遺産の指定を目指しているのならもうちょっと…という感じでした。

まあ、こういうことを改めてもらうのも自分の仕事なので、このお便りで愚痴をこぼすだけでなく、実際に取り組まなきゃー、と思ってます。